白血病(成人)

血液・リウマチ膠原病科(特任教授 福島 俊洋

 

1. 白血病とは

われわれの血液中には白血球(免疫を担当する)、赤血球(酸素を運ぶ)、血小板(出血を止める)の3つの血球成分が存在します。これらは骨のまん中の赤い部分(骨髄)で作られます。骨髄には白血球・赤血球・血小板のもとになる細胞(造血幹細胞)があり、この造血幹細胞が悪性化(がん化)したものが「白血病」です。白血病細胞が増えすぎて、本来赤い血液が白く見えたことが病名の由来とされています。

悪性化(がん化)した造血幹細胞(=白血病細胞)が、健康であればリンパ球になる細胞の場合「リンパ性白血病」、それ以外の細胞(リンパ球以外の白血球、赤血球、血小板)の場合「骨髄性白血病」の病名がつきます。また、白血病細胞が成熟できずに芽球と呼ばれる幼若な細胞が増加する場合「急性白血病」、成熟能を保ち一見正常な細胞が増加する場合「慢性白血病」と言います。したがって「急性リンパ性白血病」、「慢性リンパ性白血病」、「急性骨髄性白血病」、「慢性骨髄性白血病」の4つに大別することができます。

 

2. 症状

「急性白血病」では正常な造血は著しく抑えられます。そのため、貧血となり動悸や息切れを感じる、疲れやすい、顔色が悪いなどの症状が出ます。また、血小板が減り、出血しやすい、血が止まらないなどの症状が出ます。白血球の数は増えている場合も減っている場合もありますが、正常な白血球は減りますので抵抗力が無くなり感染症を起こしやすくなります。「急性白血病」で熱が出るのは、多くは感染症のためです。一方、「慢性白血病」では一見正常で機能もそこそこ保たれた細胞が増加し、症状も出にくいため、多くは健康診断などで偶然見つかります。

 

3. 治療

「急性白血病」では寛解を目指して短期間に複数の抗癌剤を使用する「多剤併用化学療法」を行います。「寛解」とは白血病細胞が減少し正常造血を回復した状態で、成人では急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病とも70-80%の患者さんが寛解となります。一方、寛解になっても多数の白血病細胞が残っており、完治を目指すには寛解後も治療を続ける必要があります。治りやすさは「染色体異常」に最も影響されます。治りやすい染色体異常の場合、化学療法を数回繰り返します。一方、治りにくい染色体異常では「同種造血幹細胞移植」を考慮します。「同種造血幹細胞移植」には「骨髄移植」、「末梢血幹細胞移植」、「臍帯血移植」の3種類があります。また、血縁の方からの「血縁者間同種造血幹細胞移植」と、骨髄バンクや臍帯血バンクをとおして提供を受ける「非血縁者間同種造血幹細胞移植」があります。なお、ここでいう「染色体異常」は白血病の発症に際し白血病細胞のみに出現した異常であり、遺伝するものではありません。

「慢性骨髄性白血病」は無治療では5年ほどの間にほぼ確実に急性白血病に移行すると言われており、そうさせない事が治療の第一目標です。2001年にイマチニブが登場し、5年生存率は約90%まで改善されています。

 

4. 治癒について

「急性白血病」は化学療法で治癒可能な病気の一つです。しかし、全ての方が治癒するまでには至っていません。そのため、治癒が困難と予測される場合は積極的に「同種造血幹細胞移植」を検討します。移植の前に体内に残っている白血病細胞をできるだけ減らすため、前処置(強力な化学療法や全身放射線照射)を行います。近年、「前処置」を緩やかにした「ミニ移植」の導入により、対象年齢が拡がったこともあり、年間2,000人ほどの患者さんが同種造血幹細胞移植を受けています(小児を含む)。

「慢性骨髄性白血病」ではイマチニブにより予後は劇的に改善され、一部の患者さんではイマチニブを中止しても病気が再燃しないため、治癒が得られる可能性もあると考えられています。さらに、ニロチニブ、ダサチニブといった新しい薬剤が登場し、イマチニブ以上に有効であることが明らかにされています。したがって、慢性骨髄性白血病では「同種造血幹細胞移植」を必要とする患者さんの数は少なくなっています

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