摂食・嚥下センター
概要
疾病からの早期回復、治療後の速やかな在宅への移行には早期の食事の摂取や肺炎等の合併症の予防は重要です。また、高齢化の進む地域医療においても、健康寿命を延ばし、在宅生活を可能な限り延長するためには嚥下障害の予防、早期対策、治療は急務であり、当院にはその役割を担う責務があると考えます。院内のみならず地域における摂食・嚥下リハビリテーションの重要性が増してきているため、当院では令和2年8月に多職種チームによる高度な嚥下に対する専門的治療を提供する「摂食・嚥下センター」が設立されました。
業務内容
入院患者さん及び外来患者さんの摂食・嚥下障害に対する評価・治療、患者さん及び家族への訓練・指導
特徴・特色
当院の摂食・嚥下センターは、複数の診療科(頭頸部外科、耳鼻咽喉科、高齢医学科、リハビリテーション科、歯科口腔外科)の医師と認定看護師、言語聴覚士、作業療法士、管理栄養士、薬剤師の多職種で構成されており、チームで摂食・嚥下障害の治療にあたっています。嚥下外来担当の医師の診察の後、必要に応じて嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査を行い、病態の分析、有効な代償法、食事形態の検索をおこないます。摂食・嚥下カンファレンスでは多職種で、検査結果を基に摂食・嚥下障害に対する治療方針を協議しています。治療方針に関しては、本人、家族の意向を最大限尊重し、家族背景や経済状態を考慮した、個々に応じて設定しています。嚥下訓練が必要となった場合には言語聴覚士が訓練プログラムを立案し、訓練を施行します。在宅に戻ってからも経口摂取が継続できるように自主練習プログラムの指導や認定看護師や管理栄養士からは誤嚥性肺炎予防のための生活指導や栄養指導、調理指導、薬剤師による服薬指導など持続可能なアプローチを提供しています。
理念
「食べる」ことは生命を維持するための栄養補給はもとより、生活の質を上げる楽しみであり、他者とのコミュニケーションを豊かにする役割も果たしています。摂食・嚥下チームは嚥下障害の患者さんが最期まで食を楽しむための医療を目指したいと考えます。
基本方針
・ 科学的根拠に基づいた評価と治療の提供
・ 患者さんの背景や思い、希望、価値観に応じたゴールの設定
・ 「食べる」をチームで支える
目標
・ 正確な評価と適切な治療を提供し、早期の経口摂取再開を図る
・ 誤嚥性肺炎を予防しつつ、経口摂取の継続を支援する
・ 食を支援することで、早期退院、在宅生活の延長を図る