膝関節再生医療外来(MFAT)

目的

<変形性膝関節症>

変形性膝関節症は、男女比1:4の割合で女性に多く見られ、高齢になるほど罹患率は高くなります。主な症状は膝の痛みと水がたまることです。初期では立ち上がり、歩きはじめなど動作の開始時にのみに痛みが生じ、休めば痛みがとれます。症状が進行すると正座や階段の昇降が困難となり、安静時にも痛みがとれず、変形が目立ち、歩行が困難になります。

一般的な治療として、症状が軽い場合は、痛み止めの内服薬や外用薬の使用、膝関節内にヒアルロン酸の注射などをします。また、大腿四頭筋強化訓練、関節可動域改善訓練などの運動器リハビリテーションを行ったり、膝を温めたりする物理療法を行います。足底板や膝装具を作製することもあります。このような治療でも治らない場合は手術治療も検討します。これには関節鏡(内視鏡)手術、高位脛骨骨切り術(骨を切って変形を矯正する)、人工膝関節置換術などがあります。

現在、手術の前段階として再生医療が注目されています。現在の再生医療は主に痛みを軽減することが目的であり、軟骨が完全に再生する訳ではありません。

 

<自家脂肪組織由来微小細断脂肪組織片(Micro-Fragmented Adipose Tissue:MFAT)>

MFATは採取した自身のお腹回りの脂肪組織を専用のキットで細断して作製する非常に細かい脂肪の破片です。MFATには脂肪幹細胞などの再生医療で用いる様々な細胞や組織が含まれています。また、採取した脂肪組織からその場で作製して投与ができる簡便な方法です。すでに海外ではMFATを用いた再生医療が行われており、その他の再生医療と同等な効果が得られていると報告されています。

 

対象

医師から変形性膝関節症と診断され、既に半年以上治療を受けている30歳~85歳の方が対象です。

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※医師が最低50mlの脂肪吸引が可能か判断しなければなりません。

その他、医師の判断にて適応にならない方もいらっしゃいます。

 

内容

局所麻酔下による手術にて脂肪吸引(腹部、臀部、大腿部)を行い、脂肪組織を50ml以上採取します。採取した脂肪組織を、専用のキットを用いて組織を細断し、最終調整されたMFATを、5mlを膝関節へ投与します。なお、別途参考品として1mlが10年間保管されます。両膝の場合も同様に行います。

投与後、全身状態を実施医師が確認し、帰宅を許可します。投与後は、経時的に外来で診察し、膝関節や全身の状態を観察します(歩行の程度、階段の昇降、朝夕の痛みの程度、冷え込み時の痛み等)。

(治療に伴い起こりうる危険性・不利益)

・局所麻酔に伴う副作用が生じる可能性があります。

・脂肪組織採取に伴う傷、内出血、硬結などが生じる可能性があります。

また、脂肪吸引術に伴う主な副作用は下記の事象が考えられます。

【脂肪吸引術に伴う副作用】

深部静脈血栓、肺塞栓、大量出血、過剰輸液(肺水腫)、脂肪塞栓、腹膜穿孔、リドカイン中毒、外科的ショック等

・投与時に、ウイルスおよび細菌等の異物混入を完全に否定することはできません。

・投与による副作用として、アレルギー症状(発疹、かゆみ、紫斑)、腫れ・発赤・熱感、発熱、関節痛が生じる可能性があります。

 

 

費用

本治療は、自由診療となり、健康保険の適用とはならず、治療費は全て自費での負担となります。

項目

金額

内容

片膝

¥450,000-(税込)

(片膝・両膝共通)

治療適用可否確認診察・術前検査

手術・入院(日帰り)

治療後経過観察(年5回程度)

両膝

¥700,000-(税込)

※術後の退院時に上記費用を一括でご精算いただきます。

※全身・腰椎麻酔によるせん妄や合併症、または既往疾患を併発し、術後の容体悪化等により、入院の延長を免れない場合、上記とは別に追加の治療費が発生することがあります。

追加で発生した治療費についても全て自費での負担となります。

 

診察日・時間

月・金曜日(午前) ※完全予約制とさせていただきます。

治療にご興味のある方は、かかりつけ医またはお近くの整形外科の先生にご相談の上、当院までご紹介していただくようにお願いいたします。

紹介に関するお問い合わせ

金沢医科大学病院 地域医療連携事務課

電話:076-286-3511(受付時間:平日8:30~15:00、土曜8:30~12:00)

 

実施機関・実施組織

【実施機関】金沢医科大学病院

【管理責任者】 病院長 伊藤 透

【実施組織】

金沢医科大学 整形外科学 教授・川原 範夫

金沢医科大学 整形外科学 特任教授・兼氏 歩

金沢医科大学 整形外科学 臨床教授・市堰 徹

金沢医科大学 整形外科学 学内講師・舘 慶之

金沢医科大学 整形外科学 助教・平田 寛明

金沢医科大学 形成外科学 教授・島田 賢一

金沢医科大学 形成外科学 臨床准教授・岸邊 美幸

金沢医科大学 形成外科学 助教・金子 貴芳

金沢医科大学 形成外科学 助教・柳下 幹男

金沢医科大学 リハビリテーション医学 教授 松下 功

【担当医】

金沢医科大学 整形外科学 学内講師・舘 慶之(月・金曜日)

金沢医科大学 整形外科学 助教・平田 寛明(月曜日)

金沢医科大学病院

〒920-0293 石川県河北郡内灘町大学1-1

TEL 076-286-3511

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平日 初診  8:30~12:00
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土曜 初診  8:30~12:00
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