講座主任挨拶

 日頃より金沢医科大学 腎臓内科学教室の活動に温かいご支援を賜り、心より御礼申し上げます。
 本年も教室員一同、日々の診療・教育・研究に真摯に取り組み、地域医療への貢献と腎臓病学の発展に努めてまいります。
本年は、日本腎臓学会西部学術大会をはじめ、複数の学会・研究会の開催・運営を担当する予定であり、教室としても大きな節目の一年となります。学術活動を通じて、臨床の現場で得られた問いを共有し、議論を深め、次の診療と研究へつなげていく機会を大切にしたいと考えております。
 教育面では、若い研修医の入局も予定されており、教室はさらに活気を増しています。若手が安心して学び、挑戦できる環境を整えるとともに、指導する側も共に学び続ける姿勢を大切にし、チームとして成長していきたいと思います。
 研究面では、多施設・多分野の共同研究を一層推進すると同時に、教室としての独自性を持った研究にも継続して取り組んでまいります。臨床で感じた違和感や疑問を出発点に、データと病理、基礎的な視点を組み合わせて検証し、成果を患者さんへ還元する――その循環を、楽しさと誇りをもって実践できる教室でありたいと考えています。海外留学についても、個々の志向やライフプランに配慮しながら、可能性を広げられるよう支援してまいります。
 また当教室では、多様な背景や価値観を尊重し、ダイバーシティを教室運営の根幹に据えています。女性医師に限らず男性医師も含め、産前産後休業・育児休業を取得しながらキャリアを継続できる体制づくりを進めています。互いを尊重し、支え合いながら働ける環境が、結果として診療・教育・研究の質を高めると信じています。何より、教室員一人ひとりが安心して力を発揮できることを大切にし、それぞれの成長と挑戦を教室として支えてまいります。
 そのうえで私たちは、日常診療の原点として、一例一例を丁寧に診て、深く考える姿勢を重んじます。患者さんお一人おひとりに真摯に向き合い、学びを積み重ねることが、臨床の力となり、次の発見へとつながります。教室員一同、前向きに、そして誠実に歩みを進めてまいります。
 本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

腎臓内科学 教授(講座主任) 古市賢吾

略 歴

平成 5年 3月 金沢大学医学部卒業
平成16年 4月 米国NIH、NIAID 留学
平成19年11月 金沢大学(医学部)附属病院血液浄化療法部 部長、准教授
平成31年 4月 金沢医科大学 腎臓内科学 特任教授
令和 2年 4月 金沢医科大学病院 血液浄化センター 部長
令和 3年 4月 金沢医科大学 腎臓内科学 教授(講座主任)

教室の歩み

 金沢医科大学腎臓内科学は、1974年4月1日に腎臓内科学教室を開設し、診療と講義を開始しました。9月には病院透析センターが開設され、11月より血液透析を開始しました。さらに1975年3月16日には、石川県初の腎移植第一号が実施されました。その後、石川勲教授、横山仁教授、古市賢吾教授と引き継がれ、まもなく50周年を迎えます。 当科では1982年より血液透析以外の腎不全治療法として腹膜透析法のCAPDをいち早く取り入れ、患者の選択肢を広げています。また、慢性腎不全の究極の治療である腎移植は、泌尿器科との腎移植チームにより実施しており、生体腎移植、献腎移植とも良好な成績をおさめています。

歴代講座主任

初代(1974~1994年)
篠田 晤 教授
  • 金沢大学医学部卒業
  • 4月1日 着任
    「腎臓病学の臨床、慢性腎不全の治療」を教室のテーマとし腎臓内科教室を開設した。
    検尿に始まる腎疾患の早期診断から腎生検による診断、さらには末期腎不全のための透析・移植にいたる治療を目指し、研究・臨床・教育面に力を注いだ。
  • 1月7日病没
第2代(1994年~2006年)
石川 勲 教授
  • 金沢大学医学部卒業
  • 着任
    留学中の経験を生かし、「患者から学ぶ」をテーマとし1975年8月より診療、研究、教育を開始する。
  • 4月1日 主任教授就任
    多嚢胞化萎縮腎と腎癌研究、運動後急性腎不全研究、画像診断の腎疾患への応用(その成果は「腎疾患の画像診断」にまとめられている)、腎移植による慢性腎不全合併症発生の機序解明に多くの成果を上げた。特に透析患者の多嚢胞化萎縮腎と腎癌研究は、長期透析による後天的腎嚢胞の発生と腎癌を合併する「多嚢胞化萎縮腎」という概念を確立した。さらに運動後急性腎不全研究では、激しい背腰痛を伴う新しい急性腎不全症候群を記載し、その一部が腎性低尿酸血症を伴う事を発見した。この2つのテーマは、退官時に英文著書として出版された。
第3代(2006年~2021年)
横山 仁 教授
  • 金沢大学大学院医学研究科修了
  • 金沢大学医学部を経て、4月1日金沢医科大学腎臓内科学主任教授に着任。
    これまでの伝統を生かし、「総合的な腎臓内科学」をテーマとして、教育、診療、研究を開始した。 現在、日本腎臓学会理事として日本腎臓学会腎臓病総合レジストリーの構築運用を担当し、厚生労働省「進行性腎障害調査研究班」の分担研究者として日本における難治性ネフローゼ症候群、急速進行性腎炎症候群、IgA腎症、多発性嚢胞腎の疫学・臨床研究を推進している。加えてこれまでの研究テーマである1)腎炎・ネフローゼ症候群の臨床病理学的研究、2)血液浄化療法の臨床的応用に関する研究、3)移植腎障害の臨床病理学的研究を幅広く推進している。腎炎・ネフローゼ症候群では、ループス腎炎の臨床病理と疫学研究、難治性ネフローゼ症候群、特に膜性腎症における臨床疫学とCD80分子や新たに見出された抗膜型Phospholipase A2 receptor 抗体の検討を行っている。血液浄化では、C型肝炎ウイルスの除去療法(VRAD)の各種腎疾患合併例における応用研究を行っている。さらに、移植腎障害では、アディポサイトカイン、non-classical HLA分子、circulating fibrocytesの研究により移植腎障害の機序の一端を解明している。
第4代(2021年~)
古市 賢吾 教授
  • 金沢大学医学部卒業
  • 着任
    2020年より血液浄化センター部長
  • 主任教授就任
    目の前の患者様一例一例を丁寧に診療する事を大切と考えている。ネフローゼ症候群や慢性腎炎症候群の腎疾患の診断・治療、および腎不全症例に対する血液透析、腹膜透析、移植、さらには 難治性ネフローゼ症候群、膠原病関連の腎障害例、あるいは神経疾患などの様々な病態に対するアフェレシス療法などで信頼される治療を提供する。急性腎障害および再生・修復に向けた研究、腎生検を含めた臨床検体を中心とした糖尿病性腎臓病の解析を中心に、研究を行っている。
客員教授(1973年4月~1983年1月)
Leonard B Berman 内科学客員教授
  • 医学英語の指導および金沢医科大学雑誌の編集委員として、本学の発展に寄与した。