診療案内

膝関節疾患・スポーツ障害

膝関節は大腿骨と脛骨で構成される関節で、歩く、座る、立ち上がるなどの日常生活動作を行う際に大切な役割を果たしています。スポーツ等によるケガ、また加齢による変性によって、関節を構成する軟骨、靭帯、半月板等が障害されますが、これをできる限り痛みのない膝関節に再建し、日常生活やスポーツに復帰できるように治療しています。

スポーツ障害

若年者から中高年までスポーツ愛好者は多く、半月板損傷や前十字靭帯損傷などが最も多くみられる障害です。保存的治療が奏功しない場合は関節鏡視下に手術を行いますが、半月板断裂に対しては部分切除術あるいは縫合術を、また前十字靭帯断裂に対しては、薄筋腱、半腱様筋腱を用いた靭帯再建術を行っており、良好な成績を得ています。可能な限り早期のスポーツ復帰を目指し、リハビリテーションも併せ適切な治療および指導を行っています。

変形性膝関節症

膝の軟骨が年齢とともに次第にすり減り、関節の変形と痛みのために歩行障害をきたすのが変形性膝関節症です。お年寄りの病気と思われがちですが、中高年の方で「立ち上がるときに膝が痛い」、「正座ができない」、「膝が腫れてきた」などの症状がある場合は、初期の変形性膝関節症である可能性があります。変形性膝関節症は、ほとんどの場合が内側型(内側の軟骨がすり減るタイプ)で、進行すると膝が内反変形(O脚変形)をきたし、膝の内側の痛みが増悪します。治療はまず消炎鎮痛剤の投与やヒアルロン酸の関節注射等の保存的加療を行いますが、症状が軽快せず、日常生活や仕事に支障をきたす場合には手術加療が必要となります。

手術療法

手術には、関節温存手術と人工関節置換術があります。関節温存手術の代表的なものとしては高位脛骨骨切り術があり、この手術は変形が比較的軽度な40代後半から50代の方に適応になりますが、60歳以降の方で、関節の変形が進行し、疼痛が強い場合は人工関節置換術が適応となります。また高齢で変形がそれほど強くなく、可動域が保たれており内側に痛みが限局している症例では、内側だけ人工関節に置換する単顆型(片側型)人工膝関節置換術も行っています。

高位脛骨骨切り術

40代後半から50代の方で、膝の変形が比較的軽度で、関節軟骨がまだ残存している患者様に適応になります。O脚変形をきたした膝に対して、脛骨近位部(膝の少し下の部分)の骨を切り、変形を矯正することによって、膝関節の内側にかかる荷重ストレスを中央からやや外側に変化させ、疼痛を軽減するという手術です。近年、骨切り部をより強固に固定するプレートとスクリューが開発され、リハビリ期間が短縮できるようになりました。術後2週から部分荷重を開始し、早ければ約1ヶ月で全荷重歩行が可能です。

人工関節置換術

60歳以降の方で、関節の変形が進行し、疼痛が強い場合に適応になります。手術後数日で全荷重歩行が可能となるので、リハビリ期間を含めても早ければ3~4週で退院可能です。人工関節置換術は確実な除痛効果があり、痛くて歩きにくかった患者様には大変喜ばれる手術です。またO脚だった脚が真っ直ぐになるため、整容的にも満足していただける手術といえます。最近では“より曲がる膝”を追及した、深屈曲対応デザインの人工関節インプラントもあり、手術前より膝が曲がるようになったと喜ばれる患者様が増えています。
高齢で変形がそれほど強くなく、可動域が保たれており内側に痛みが限局している症例では、内側だけ人工関節に置換する単顆型(片側型)人工膝関節置換術も行っています。
この手術は侵襲が小さく術後の回復が早いという利点があり、80歳以上のご高齢の方で内科的な合併症があり手術に躊躇するような症例でも、比較的安全に行うことのできる手術であり、痛みも取れ可動域の改善もよいため非常に満足度の高い手術です。

膝関節外来は、月・金の午前中です。当院整形外科では、膝関節手術において、常に最新のインプラントおよび手術手技を取り入れ、低侵襲で合併症の少ない、患者様に満足していただける医療の提供を目指しています。膝の痛みや変形を認める患者様は、一度当科外来を受診していただき、担当医にご相談下さい。