診療案内

関節リウマチ

はじめに

 関節リウマチは、全国で約70万人以上の患者が存在するといわれる疾患です。
 関節リウマチは自己免疫異常による全身性の炎症性疾患であり、病変の主座は関節内や腱の周囲に存在する滑膜です。滑膜の炎症が慢性的に持続することで、関節の痛みやこわばりといった症状に引き続き、関節の破壊や変形(図1)が生じてきます。関節の破壊は、日常生活の障害に直結する大きな問題であり、何としても阻止しなければなりません。
 関節破壊は発症してから数か月という早期から出現してくることが確認されています。ですので、関節リウマチは可能な限り早期に診断して、早期に治療を開始しなければなりません。また治療内容も大切です。症状を緩和するだけの治療では、関節破壊が進行してしまいますので、副作用の発生に十分に注意しながら抗リウマチ薬を使用した厳密な治療を行う必要があります。

検査

 身体所見、血液検査及び画像検査などを元に総合的に診断する疾患です。なかでも、関節の腫れを確認することは極めて重要です。まず関節をくまなく触って関節の腫れを確認しますが、ごく軽度の腫れの場合触っただけではわからないことがあります。そこで、威力を発揮するのが関節超音波検査(図2)です。関節超音波検査ではわずか数mmの滑膜の肥厚を検出することが可能で、さらに炎症の程度を表す異常な血流の存在も見つけ出すことができます(図3)。
 また関節超音波検査は、関節リウマチの診断だけではなく治療の効果判定にも有用です。わずかな滑膜の炎症も見つけ出すことができますので、関節リウマチの病状がしっかり抑えられているか否かを評価することができます。
 当院では、膠原病内科、整形外科、リハビリテーション医学科の医師が協力して毎週月曜日の午後に関節超音波検査を用いたリウマチ診療を行っています。

薬物治療

 薬物療法は関節リウマチ治療の根幹です。薬物治療では、寛解もしくは低疾患活動性という関節リウマチの病状が落ち着いた状態を目指します。
 関節リウマチと診断されたら、まずメトトレキサート(MTX)を使用し、有効性と副作用を見ながら増量していきます。MTXの使用ができない場合は、従来型抗リウマチ薬を使用します。
 MTXや従来型抗リウマチ薬を服用しても寛解もしくは低疾患活動性にならない場合は、生物学的製剤やヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬を使用します。それでも効果不十分と判断した時には、別の生物学的製剤もしくはJAK阻害薬へ変更していきます。
 以上の治療で寛解もしくは低疾患活動性が達成され、関節破壊の進行が抑制できた場合には、病状の悪化に十分注意しながら薬の減量を試みることもあります。
 副腎皮質ステロイドは関節リウマチ患者に対して使用することがあります。しかし、副腎皮質ステロイドは長期使用すると感染症や骨粗しょう症などの危険性が高まりますので、少量かつ短期間使用にとどめ、可能な限り早く中止しなくてはなりません。

手術

受診を希望される患者さんへ

 当科では、正確な診断及び有効な薬剤を用いた治療のみならず、手術を含めた外科的治療も行っております。
 受診希望の際は、月、水、金曜日の午前中に整形外科外来を受診してください(紹介状を持参して頂ければ、スムーズな診察が行えます)。関節超音波検査が必要と判断した場合は、改めて月曜日の午後(14時30分頃)に受診して頂くこととなります。