神経グループ
小児神経グループの診療について
当院の小児神経グループでは、難治性てんかんや小児神経難病を中心に診療を行っています。以下に各分野での取り組みをご紹介します。
難治性てんかん
難治性てんかんには、ウェスト症候群、Lennox-Gastaut症候群、Dravet症候群といった従来から知られる疾患に加え、遺伝学的検査の進歩により認識が広がった発達性てんかん性脳症が含まれます。
これらの疾患の中にはNa+チャネル異常症のように特異的な治療計画が求められるものが含まれます。当院では、神経学的評価、生理学的評価に加えて、ゲノム医療センターとの協力により遺伝学的評価を通じて、幅広い疾患に対応できる体制を整えています。
小児神経難病
神経筋疾患を含む小児神経難病では、早期の体系的な神経学的評価と診断が重要です。近年、脊髄性筋萎縮症やPompe病など治療可能な疾患が増えており、早期発見が求められます。当院では、紹介を受けた際に迅速に対応できるよう、受診調整を行っています。
神経発達症
自閉スペクトラム症、注意欠如多動症、限局性学習症などの神経発達症(いわゆる軽度発達障害)の児童は、主に金沢市を中心とする療育機関で診療されています。当院ではこれらのリソースの少ない能登北部・中部からの紹介を関連病院との連携にて受け入れています。神経発達症の児においては療育が重要な役割を持ちますが、もう一つ重要なことは自信を失いがちな子どもたちの視線に立って、小児科医としてのアドボカシーを発揮することにあります。神経発達症の児が適応しにくい状況において行動評価や高次脳機能の評価を踏まえた分析的解釈をもとに、子どもたちの代弁者として教育機関等に情報提供を行う役割を担っています。てんかんが併存する場合や退行や後天性の脳機能障害が疑われる場合は、1~2週間以内に受診できる体制を整えています。
医療的ケア児の支援
医療的ケアとは、家庭や学校などの生活の場で豊かな生活を送れるようにするための医療行為のことを言います。医療的ケア児に対して関係機関との調整を院内のコーディネーターやソーシャルワーカー、県内の医療的ケア児支援センターとの協力のもと支援しています。災害時には小児周産期災害リエゾン・石川県小児呼吸器ネットワークと協力し支援を行ってきましたが、まだ十分とは言えず今後さらなる改善に努めていきます。
研究活動について
これまで、てんかんの併存症としての読み書き障害や高次脳機能障害の評価と支援に取り組んできました。また発達性てんかん性脳症の児において症状のフェノタイプ、電気生理学的分析と遺伝学的解析を基にした体系的な評価を推進し、研究を進めていきたいと考えています。