



本学は昭和47年、学都金沢に近い内灘の地に設立され、建学の精神に謳われている「人間性豊かな良医の育成」を目標に、医学教育に取り組んでまいりました。
人類の歴史の中でも、現代ほど生命科学が進歩、発展した時代はありません。今世紀に入ってもすでに、ヒト全ゲノム塩基配列の決定、ヒト誘導性多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立など、生命科学にとどまらず、将来医学・医療にまで大きな影響を及ぼすことが予想される成果が次々と報告されています。医師はこのような医学・医療の急速な進歩やそれに伴う情報量の増加に対応して、絶えず研修に励み、生涯にわたって学習し、患者に最良の医療を提供するための努力を続けなければなりません。これは医師に課せられた当然の責務(noblesse oblige)であると言っても過言ではありません。
一方この科学の進歩によって社会的には大きな矛盾も生じ、「科学によって神は死に絶える」という警告が現実のものとなりつつあります。現代社会で、技術万能、経済優先の風潮が強くなれば、ともすれば心の豊かさを失い、人間相互の信頼や生命尊重の気風が軽視される傾向が生じてくるのではないでしょうか。医療においては、「病気ではなく病人を診る」という原点、「医の心」を見失ってはなりません。
医療は、サイエンスとしての「医学」、それを基礎として発展してきた「医療技術」、そして仁愛の心とも表現される「医の心」の三つによって支えられております。本学が開学以来力を尽くしてきた豊かな人間性を育むための「心の教育」は、現代社会において増々その重要性を増しています。「心の教育」は、講義によって教える、あるいは教えられる性質のものではありません。フランス人ジャーナリストのシャバニスは著書「死をめぐる対話」の中で「隣人の死の周囲にこそ人間的なものが宿る」と述べています。「心の教育」では病める人の苦しみ、そして死の悲しみを身近なものとして感ずることが重要であると考えられます。そのような理念の基に、本学では体験学習を中心とした医学教育システムを導入しています。医学部では第1学年から第3学年で早期臨床体験実習を導入するとともに、第5・6学年ではステューデントドクターとして医療チームの経験を積む“参加型”臨床実習を強力に進めております。看護学部においても同様に、第1学年前期から基礎看護学実習を始め、第3学年では看護学各専門領域の実習を通年で行い、臨床の現場での学びと考える学習に重きを置いております。
内灘は日本海に臨んだ自然環境に恵まれた地で、朝な夕なには遙かに立山連峰、医王山、霊峰白山を仰ぎ見ることができます。また、江戸時代から「天下の書府」と評価された金沢は、医学教育でも長い歴史と伝統を持っており、医学の勉学と人格の陶冶には最高の環境であると思っております。本学に学ぶ学生の皆さんが恵まれた環境、充実した設備を十分に活用し、良き師、良き友と出会い、互いに切磋琢磨し、医学知識と医療技術を修得し、豊かな思考力、良識に基づいた判断力、確固とした倫理観を持った人間性豊かな医師として国内外で活躍されることを心から望んでおります。
本学の卒業生が「人間性豊かな良医」として社会に貢献することこそが、本学の教育の最終目標であり、大学の理念の実践であり、本学の社会的使命であると教職員一同考えております。

昭和45年 (1970) | 金沢医科大学設立準備委員会発足 |
昭和47年 (1972) | 学校法人金沢医科大学認可 |
初代理事長に益谷秀次就任 | |
初代教養部長に平口俊夫を任命 | |
初代医学部長に倉知与志を任命 | |
初代学長に大谷佐重郎を任命 | |
金沢医科大学開学、第1回入学宣誓式 | |
初代病院長に吉田清三を任命 | |
昭和48年 (1973) | 金沢医科大学附属看護学校開校 |
昭和49年 (1974) | 第1回金沢医科大学神経科学セミナー開催 |
金沢医科大学病院開院 | |
昭和50年 (1975) | 腎臓移植第1号実施 |
第1回金沢医科大学医学会学術集会開催 | |
金沢医科大学歯学研究所開設 | |
金沢医科大学後援会橘会発会 | |
昭和51年 (1976) | 金沢医科大学雑誌第1巻第1号発刊(毎年4回発行) |
3月20日本学へ遺体を寄託する篤志家団体「天寿会」を結成 | |
昭和52年 (1977) | 新解剖体慰霊碑建立 |
昭和53年 (1978) | 学歌(校歌)制定 |
医学部医学科第1回卒業証書授与式 | |
実験動物慰霊碑建立 | |
昭和54年 (1979) | 病院にCT装置導入 |
金沢医科大学学報創刊号発刊 | |
昭和56年 (1981) | 私立大学等経常費補助金交付 |
昭和57年 (1982) | 大学院医学研究科設置 |
昭和58年 (1983) | 熱帯医学研究所開設、人類遺伝学研究所開設 |
創立10周年記念式典挙行 | |
厚生省から北陸地方腎移植センターの指定を受け開設 | |
昭和59年 (1984) | 核磁気共鳴コンピュータ断層撮影装置(MR−CT)導入 |
昭和61年 (1986) | 金沢医科大学病院別館竣工 |
昭和62年 (1987) | 金沢医科大学病院別館増築 |
金沢医科大学歯学研究所廃止 | |
昭和63年 (1988) | 金沢医科大学附属看護専門学校に昇格、改称 |
解剖体慰霊碑(納骨堂)建立 | |
平成元年 (1989) | 総合医学研究所開設 |
平成 2年 (1990) | 金沢医科大学北辰会発足 |
平成 4年 (1992) | 創立20周年記念式典挙行 |
平成 6年 (1994) | 厚生省から特定機能病院に承認 |
金沢医科大学病院開院20周年 | |
平成 7年 (1995) | 英国医学協議会 (General Medical Council) 審査・承認 |
平成 8年 (1996) | 金沢医科大学統合情報ネットワーク(KMUnet) 運用開始 |
平成 9年 (1997) | 金沢医科大学北辰会は同窓会を吸収合併し「北辰同窓会」と名称変更 |
第29回日本医学教育学会開催 | |
平成10年 (1998) | ハイテクリサーチセンター開設、入試センター開設 |
平成11年 (1999) | 生体肝移植第1号実施 |
平成12年 (2000) | 教育学術交流センター開設 |
北陸大学と姉妹校締結調印 | |
第20回国内医科大学視察と討論の会開催 | |
電子カルテ全科実施(診療録等の電子媒体保存開始) | |
平成14年 (2002) | エネルギーセンター稼働 |
院外処方箋の全面発行開始 | |
平成15年 (2003) | 財団法人大学基準協会の正会員への加盟・登録が承認 |
診療組織再編 | |
大学院医学研究科改組、生命医科学専攻設置 | |
病院新館竣工 | |
創立30周年記念式典挙行 | |
学生クラブハウス新設 | |
大学基準協会正会員登録 | |
平成16年 (2004) | 医学部講座組織の改組、臨床研修センター開設 |
常陸宮殿下が本学を視察 | |
平成17年 (2005) | 医学教育センター開設 |
国際交流20周年記念式典挙行 | |
21世紀集学的医療センター開設 | |
平成18年 (2006) | 内灘町と包括連携協力協定調印 |
病院第二新館竣工 | |
平成19年 (2007) | 日本医療機能評価機構(審査体制区分:4 Ver.5.0)認定 |
金沢医科大学看護学部設置 | |
氷見市民病院指定管理者に決定 | |
平成20年 (2008) | 財団法人大学基準協会大学基準適合認定 |
指定管理者制度による金沢医科大学氷見市民病院開設(私立学校法第26条の収益事業) | |
一般教育機構設置、国際交流センター開設、研究推進センター開設 | |
平成21年 (2009) | 看護師宿舎「はまなすコートハウス」竣工 |
金沢医科大学附属看護専門学校閉校 | |
クリニカルシミュレーションセンター開設 | |
平成22年 (2010) | 能登北部地域医療研究所開設 |
スチューデント・ドクター医局開設 | |
平成23年 (2011) | 看護学部看護学科第1回卒業証書・学位記授与式 |
新アナトミーセンター竣工 | |
金沢医科大学氷見市民病院移転新築、診療開始 | |
平成24年 (2012) | 日本医療機能評価機構(審査体制区分:4 Ver.6.0)認定 |
創立40周年記念式典挙行 | |
金沢医科大学レジデントハウス竣工 | |
平成25年 (2013) | 金沢医科大学氷見市民病院教育研修棟竣工 |
平成26年 (2014) | 医学教育棟竣工 |
立体駐車場竣工 | |
金沢医科大学氷見市民病院が日本医療機能評価機構 | |
機能種別版評価項目3rdG:Ver.1.0認定 | |
平成27年 (2015) | 金沢医科大学大学院看護学研究科(修士課程)設置、再生医療センター開設 |
公益財団法人大学基準協会大学基準適合の認定 | |
手術支援ロボット「ダビンチ」最新モデルの導入 | |
再生医療センター竣工 | |
平成28年 (2016) | 認知症センター、乳腺センター、女性総合医療センター開設 |
平成29年 (2017) | 日本医療機能評価機構機能種別版評価項目3rdG:Ver1.1認定 |
金沢医科大学高松球技場竣工 | |
病院中央棟竣工 | |
平成30年 (2018) | 新クラブハウス竣工 |
ゲノム医療センター開設 | |
令和元年 (2019) | 外来手術室開設 |
医師国家試験対策センター開設 | |
MFICU(母体胎児集中治療管理室)設置 | |
令和 2年 (2020) | 摂食・嚥下センター開設 |
日本医学教育評価機構 医学教育分野別評価認定 | |
令和 3年 (2021) | 小児高度外科医療センター開設 |