センター長あいさつ

金沢医科大学病院
再生医療センター
センター長  下平 滋隆
プロフィール

本院の再生医療センターはNature Spotlight on Kanazawaに掲載された細胞治療のリアルワールドを実現する国内屈指の施設です。新型コロナウイルス感染症に対する治療薬の決定打がまだない現状において,AIやITを駆使した情報化社会であっても,医療や研究,教育の主体は人です。再生医療に従事する専門医療人の育成に努め,専門人材が主体である当センターとしても未来の再生医療等に対する新しい情報発信や保健衛生の向上に寄与する学術活動の役割を果たしたいと思います。産学連携を推進し、がん樹状細胞ワクチンから皮下脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた身近な再生医療等の技術提供だけでなく,台湾高雄医学大学および中国華中科技大学との国際共同研究も推進しています。

1.診療内容

地域の医療機関に根ざした身近な再生医療等の治療技術の開発をミッションにして,新型コロナウイルス感染症の時代でも超高齢化社会に求められる身近な再生医療等を提供するハブとして貢献して参ります。国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム(OPERA)の研究開発コンソーシアムを通じて,アカデミアの技術を医療や産業に展開でるように産官学連携を推進します。

金沢医科大学病院再生医療センターを中心として,IFN樹状細胞ワクチン療法を提供する地域の医療機関とのコンソーシアムを構築しています。樹状細胞の調製法の知財を活かすべくWT1抗原だけでなく,当院ゲノム医療センターとの協働により,がんゲノム診断をベースとしたネオアンチゲンを標的としたIFN樹状細胞ワクチンの技術支援を実践しています。再生医療センター外来では,樹状細胞ワクチンなど免疫療法に関わる情報の提供を行う医療相談をセカンドオピニオンとして行っています。また,整形外科や形成外科において進めておりました自家脂肪組織由来幹細胞を用いた再生医療等の臨床研究は,次の治療の提供に向けて技術支援をしております。

「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に対応した再生医療等を審査する認定再生医療等委員会(第3種)および特定認定再生医療等委員会(第2種)では,治療を受ける患者さんの安全確保と特定細胞加工物の品質と安全性に関する専門的な見地から審議に参画してます。

2.特徴・特色

2015年4月に設置された再生医療センターは,2016年2月に細胞・組織調製施設(1階)および品質検査ラボ(2階)が稼働,実用的な治療の開発を目指した再生医療等の取り組みとして本学の細胞治療プロジェクトを推進し,細胞治療の基盤的研究,橋渡し研究から臨床研究を実践しています。そして,アウトリーチ活動を通じて,再生医療や細胞治療に関わる研究活動の成果を社会に展開をしています。第2種再生医療等臨床研究:変形性膝関節症に対する自家脂肪組織由来幹細胞投与の安全性に関する研究は安全性試験,第3種再生医療等臨床研究:WT1ペプチドパルスIFN樹状細胞ワクチン療法,さらにWT1抗原あるいはネオアンチゲンを標的としたIFN樹状細胞ワクチンの技術支援を推進しています。