教室案内

教授挨拶

金沢医科大学眼科学講座主任教授 佐々木洋

眼は身体の全体から見ればとても小さな組織ですが、外部から得る情報の約80%は眼から入るため、眼疾患により視機能に障害を生じた場合、日常生活に多大な支障をきたします。超高齢化社会を迎え、高齢者では白内障、緑内障、加齢黄斑変性などの眼疾患に罹患するリスクが非常に高く、生涯にわたって高いQOLを維持するために眼科の果たす役割は今後さらに重要になるはずです。私たち金沢医科大学眼科学講座では、前眼部疾患から網膜疾患、眼形成疾患、涙道・涙液疾患など、それぞれの分野で専門外来の医師が最新の医療を提供しております。私が専門とする白内障に関しては、白内障患者さんの「見え方の質」を様々な機器を用いて評価し、手術適応の判定を行っています。手術で使用する眼内レンズや度数についても、専門医と視能訓練士のチームが患者さんの眼に最適な眼内レンズを選択し、術後の「見え方の質」を徹底的に追求した治療を行っております。

当教室の研究テーマは白内障予防薬や後発白内障治療薬の開発、眼光学、眼薬理・毒性、眼疫学など多岐に渡りますが、特に紫外線による眼障害については国内外で多くの疫学調査を行い、多くの新知見を見出しております。これまでに石川県、鹿児島県、シンガポール、アイスランド、中国、台湾で紫外線関連眼疾患についての疫学調査を行い、紫外線により多くの住民が眼疾患に罹患し、視力を失っていることを確認してきました。現在はアフリカ赤道部のタンザニアにおける調査が準備段階です。アジア・アフリカ等の発展途上諸国における眼科医療事情はとても厳しく、先進国では治療可能な眼疾患でも発展途上国では多くの住民が失明に至っています。我々はこのような地域の実態を正確に把握し、眼科医療の必要性を明らかにするとともに、今後は現地眼科医療への支援活動に尽力していきたいと考えています。最近はこれまで得られた知見をもとに、紫外線関連眼疾患予防のために日本人の顔面形状に合わせた眼鏡やサングラスも開発しました。

卒後研修には特に力を入れており、カリキュラムに沿って限られた期間内に基本的な手技を習得できるようにしています。本学の建学の精神である『良医の育成』を目指し、技術の取得だけでなく、患者さんに信頼され社会に貢献できる眼科医の育成を目標にした指導を行っています。大学病院ではありますが、地域の機関病院としての役割も多く、受診される患者さんは重症疾患から比較的軽症の疾患まで非常に多岐に渡ります。専門外来をローテートすることにより、専門医のもと短期間で多くの疾患を経験することが可能です。当教室で多くの研修医が優れた眼科臨床医を目指して研修を行い、研究面でもグローバルに貢献できる研究を行って欲しいと思っています。世界の眼科医療に貢献できる医師を一人でも多く輩出できる教室を目指して、今後もさらに努力していく所存でおりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

金沢医科大学眼科学講座主任教授
佐々木 洋