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ご挨拶

金沢医科大学 能登北部地域医療研究所所長
教授 中橋毅(なかはしたけし)

 石川県の寄付講座として、2010年8月に金沢医科大学に「総合医療学講座」が設置されました。講座設立と同時に能登北部地域医療研究所(石川県鳳珠郡穴水町 公立穴水総合病院内に設置)が開設され、所長として就任し職務を開始いたしました。
 私たちはまず、石川県能登北部に公立穴水総合病院を中心に、診療・教育支援を開始しました。医療崩壊は地方ほど厳しいといわれます。しかし、豊かな自然に囲まれ、温かい医療者-患者関係が構築されている地域で診療にあたっていると、ここにこそ医療再生の鍵があるのではと思えてきます。
医療資源に限りがあるからこそ、地域の自主性によって健康の増進をはかろうとなされている様々な取り組みは、むしろ時代を先取りしているように思えます。能登北部地域医療研究所では、こうした活動を支援し全国に向けて発信していきたいと願っています。
 ときどき、"地域医療は何となく分かるけど、地域医療学って何?"という質問を受けます。確かに地域医療は、体系だった学問としてすでに確立しているわけではありません。しかしながら、地域医療に役立つ知識や考え方、スキル、いろいろな場面で求められる臨床倫理的な判断、適切な医療体制や保健・医療・福祉の連携など、地域医療を担う医師が共通して感じるもの、先達の智恵、共有するマインドは確かに存在するように思います。地域医療に実際に携わりながら、その活動を地域住民の皆さんに少しずつ理解してもらうこと、自分たちの住む町にとって必要な医療とは何かを考えるきっかけづくりをつくること、自分の健康は自分で維持する意識は不可欠であるとうこと、医療保険制度も変わりつつあること、なんかを一緒に考えていくことが、「地域に根ざした医療=地域医療」を実りあるものにしていくのだと考えています。また、そうした知の集積が個々の経験の共有を可能にし、地域医療をさらに発展させるのではと考えます。
 医療の原点は、地域医療です。地域医療の楽しさや醍醐味を、ぜひ学生や研修医の先生方に知ってほしいですし、地域活動の中心となっている各種団体さんは勿論、いろいろな領域の専門家とコラボレーションできればと願っています。石川県の寄附講座ということで、県の担当部門とも連携を図り、今後の本県の医療について提言できるような研究活動も重要な柱の一つです。非力な講座ではありますが、濱中課長、濵崎事務員ともども、石川県が抱える地域医療再生に関する課題を改善できるよう努力する所存です。どうぞよろしくお願いいたします。
 補足:寄附講座「総合医療学(石川県)」の設置期間は、2010年8月~2014年3月末

研究所概要

金沢医科大学では、公立穴水総合病院(左:石川県鳳珠郡穴水町川島タ-8)内に中橋毅教授を所長とする「能登北部地域医療研究所」を開設し、平成22年8月2日(月)公立穴水総合病院内にて、石川県,金沢医科大学,穴水町他関係者が出席し開所式を行った。

国からの地域医療再生基金を利用しての能登北部の地域医療充実のための寄附講座(「総合医療学:4年間)を本学に開講され、本研究所を拠点として「能登北部地域の医療環境の充実」「地域で活躍する総合医の育成」「グローバルな視点からの地域医療の研究」を三本柱とした活動の展開を進めており、本研究所の活動は、世界中の高齢化地域でのモデルとなるような医療システムの構築を目指す。

2010.8.1
地域医療再生計画による寄附講座「総合医療学」(石川県)を設置
公立穴水総合病院内に能登北部地域医療研究所を開設

1.研究所の設置目的

能登北部地域の医療環境の充実
能登北部総合医療研究所は穴水総合病院内に拠点を置き,能登北部地域で求められる人材を常勤・非常勤を問わず供給していくとともに、金沢医科大学病院をはじめ多くの医療機関とも連携して地域で求められる医療を提供する。また,初期臨床研修のローテーションにおける地域医療枠として能登北部地域を活用し、若い医師が貴重な経験を重ねながら臨床を行える環境を提供する。

地域で活躍する総合医の育成
地域では患者さまを総合的に診療し対応できる総合医の需要が高まってきている。当研究所では従来の各専門科に分化した医師育成制度から地域と密接に連携した総合的な研修に移行することにより地域で活躍する総合医の育成を目指す。そのために拠点を大学病院から地域へ移し、独自の初期臨床プログラムおよび後期臨床プログラムによる臨床研修の場を提供する。

グローバルな視点からの地域医療の研究
能登北部地域の医療の現状を調査・解析し、国内外の地域と比較することでグローバルな視点から現在の地域医療に求められる情報を能登から発進する。地域での医療・介護の需要と供給の状態をはじめ、医療過疎地での救急医療・災害医療,地域での健康増進や予防医学についての疫学研究を進める。

2.主な事業内容

教育(総合医の育成、地域医療従事者の育成)

  • 地域医療実習(学生)、初期研修(ローテ一夕ー)、後期研修(常勤医)
  • 地域医療における総合医、家庭医、救急医、専門医、指導医の育成
  • 地域医療従事者と連携した実習・研修

研究(グローバルな視野での地域医療の研究)

  • 能登地域の医療の現状調査、介入試験
  • 能登地域の疫学研究
  • 研究成果の情報発信(学会、イベント、Web、刊行物、メディア)

診療(地域医療への支援・充実)

  • 地域基幹病院での診療、穴水総合病院での診療支援
  • 地域全体をカバーする医療体制
  • 病院機能の技術移転(NST:栄養サポートチーム、褥瘡対策、医療安全、感染対策等)

社会貢献(医療を軸とした社会貢献)

  • 能登北部地区への医師の派遣・斡旋
  • 地域医療拡充
  • 地域医療に関する情報発信