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次世代北信がんプロ

北陸高度がんプロチーム基盤形成プラン(2012-2016年)

背景

がんは、我が国の死因第一位の疾患であり、国民の生命及び健康にとって重大な問題となっている現状から、「がん対策基本法」が制定されました。この基本法の中で、手術、放射線療法、化学療法その他のがん医療に携わる専門的な知識・技能を有する医師その他の医療従事者の育成が求められています。
そのため文部科学省では、複数の大学がそれぞれの個性や特色、得意分野を活かしながら相互に連携・補完して教育を活性化し、がん専門医療人養成のための教育拠点を構築することを目的として「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」を平成24年度より実施しています。このことにより、高度ながん医療、がん研究等を実践できる優れたがん医療人を育成し、我が国におけるがん医療の向上が期待されています。

北陸高度がんプロチーム基盤形成プラン

北陸地区ではがん医療に関し、①臨床現場でチーム医療のリーダーとして活躍できるがん医療スタッフの不足や、②能登北部地区、富山県西部能登南部連合地域、および福井県嶺南地域等で医療過疎化の進行しており、がん診療体制の再構築が喫緊の課題とされ、③国際的視野を持ったがんに関する新たな診断・治療法などの開発研究等を担う、高度な研究能力を有するがん研究者の不足し、国際的研究能力を有するがん研究者の早期育成が望まれています。
本プログラムは、北陸地区における金沢大学、富山大学、福井大学、本学の医科系4大学および石川県立看護大学の看護系1大学による共同実施体制をとっています。
スキームは、①がん教育改革(本科8コース)、②地域がん医療(インテンシブ11コース)、③がん研究者養成(本科2コース)より構成されています。

本学は、がんプロフェッショナルがん専門医リーダー養成コース(履修対象:大学院生)と、がんプロフェッショナル専門医養成系コース(履修対象:既に学位並びに専門医資格等を有する医師(インテンシブ))の2つのコースを設置し、北陸地域(医療過疎地域を含む)におけるがん医療のレベル向上と、がん医療スタッフの定着化を図ります。

本プランによるがん専門医療人養成教育改革

教育改革:臨床現場でチーム医療のリーダーとして活躍できるがん医療スタッフの養成

医科系がんチーム医療リーダー養成コース、がん看護専門看護師養成コース、がん専門薬剤師養成コース、がん専門放射線技術・医学物理コースなどを設置し、臨床現場でチーム医療のリーダーとして活躍できる人材を養成します。また、がん患者視点での最適な治療実施のため、がん患者も含めたIPEワークショップを実施します。

地域貢献:地域医療に貢献できるがん専門医療人の養成

本プログラムの特色は、高い臨床能力と研究能力を併せ持つがん専門医師およびコメディカル養成のための融合型教育システムの構築で、ICT(information & communication technology)を教育ツールとします。本プログラムに参加する4大学病院および北陸3県のがん診療連携拠点病院は北陸地域のがん患者の70%以上を診療しており、参加全病院に各種がん診療の標準化を求め、地域のがん診療の質的向上、均てん化を図ります。
 北陸地域内外でのがん情報の発信・交換にも活用し、集積されたがん診療のデータベースを用いて、アウトカムの検証を行い、診療向上のためにフィードバックするとともに、臨床共同研究への発展も予定されています。本プログラムで実践されるチームワークを重視した医師およびコメディカルの融合型教育システムは、わが国のがんプロフェッショナル養成システムのモデルとして期待されています。

研究者養成:国際的視野を持ったがんに関する新たな診断・治療などの開発研究等を担う、高度な研究能力を有する研究者の養成

「がん研究者養成のための卒前・卒後一貫教育コース」、「がん研究者養成コース」を設置し、Medical Research Trainingプログラムや、MD-PhDコースなどの独自のシステムによる学部・大学院一貫教育および国際研究機関と連携した教育により国際的レベルの高い優れた研究能力を有するがん研究医を養成します。

事業の期待効果

  • 患者の立場に立ったがんチーム医療リーダー養成により、円滑な多職種連携による臓器横断的がん医療が進歩し、全人的がん医療が普及
  • 地域にがん専門の医療人が定着し、地域のがん医療レベルが向上
  • 都市部の専門病院と地域医療の連携(がん早期発見、術後の経過観察、贅沢化学療法、緩和ケア等)が促進され、地域十便の利便性およびがん医療の均てん化が向上
  • 医療スタッフの地域定着による地域医療の活性化
  • 休職中の医療スタッフの地域がん医療への復帰促進
  • 国際レベルの優れたがん研究能力を有する高度がん研究医の早期養成

事業の運営体制・評価体制

連携5大学、地域医療機関、自治体、患者会等による運営協議会を最高意思決定機関とし、連携5大学による総務委員会、教務委員会、キャンサーボード委員会が実際の運営を行います。各大学連携についてはコーディネーターが調整し、教員の資質向上のためFD委員会を設置して定期的研修、ワークショップ等を実施します。
プログラムの評価システムとして、内部評価委員会、外部評価委員会を立ち上げ、定期的評価を実施し、PDCAサイクルが確実に回るようにし、当初のKGI、KPIが達成されるよう定期的にモニタリングしていきます。また、上記の各種委員会の中でも定期的にPDCAサイクルが回るようモニタリングを行います。

大学間連携の考え方

大学間の実質的連携による各大学得意分野の教育コンテンツ拡充、単位互換の推進、多職種連携プログラム実施が可能となり、北陸地区全体として、がん医療レベル、研修レベル、研究レベルの向上を図ります。また、大学間連携により多職種間連携地域ネットワークが充実させることにより、過疎地域を含む北陸全域のがん医療の均てん化に繋げます。
今回のプランで設置した教育コースは補助期間終了後も基本的に継続させ、特にがんプロ共通科目の大学連携による単位互換は、北陸地区のがん教育のコンソーシアムの一環として位置付け、教育モデルとなるよう改善・発展させます。

活動報告

 北陸高度がんプロチーム養成基盤形成プランの補助期間活動成果報告はこちら。