がんの予防

がんを防ぐための12ヵ条

国立がんセンターがん対策情報センターがん情報サービスより転載

  1. バランスのとれた栄養をとる −いろどり豊かな食卓にして−
  2. 毎日、変化のある食生活を −ワンパターンではありませんか?−
  3. 食べすぎをさけ、脂肪はひかえめに −おいしい物も適量に−
  4. お酒はほどほどに −健康的に楽しみましょう−
  5. たばこは吸わないように −特に、新しく吸いはじめない−
  6. 食べものから適量のビタミンと繊維質のものを多くとる −緑黄色野菜をたっぷりと−
  7. 塩辛いものは少なめに、あまり熱いものはさましてから −胃や食道をいたわって−
  8. 焦げた部分はさける −突然変異を引きおこします−
  9. かびの生えたものに注意  −食べる前にチェックして−
  10. 日光に当たりすぎない −太陽はいたずら者です−
  11. 適度にスポーツをする −いい汗、流しましょう−
  12. 体を清潔に

 

<がんを防ぐための12ヵ条>とは

現在、生きている私たちが、まったくがんにかからないようにすることは無理としても、ある程度はこれを防ぐことができます。そこで、日常の生活のなかで、「できるだけがんの原因を追放していこう」ということから生まれたのが、<がんを防ぐための12ヵ条>です。

この12ヵ条を積極的に実行すれば、がんの約60パーセント(禁煙で30パーセント、食生活の工夫などでさらに30パーセント)が防げるだろうと専門家たちは考えています。一見、どれも平凡に思えるかもしれませんが、統計や実験データをもとにつくられており、しっかりとした科学的根拠に基づいています。そして、国際的ながん予防の指針にもつながるものなのです。今日からさっそく生活改善をこの12ヵ条は、とりたてて特別なことではありません。日常生活のなかで、少しだけ気をつければ、だれにでもできる簡単なことです。今まで無頓着だった日ごろの生活態度を、これを機会に総点検してみてください。少しでもがんの原因になるようなことを遠ざけて、明るい健康な生活を送りましょう。

現状において日本人に推奨できるがん予防法

国立がんセンターがん対策情報センターがん情報サービスより転載

WHOは、これらの精度が高い科学的証拠によって、“確実”、あるいは“可能性の高い”と評価された要因に基づいて、がん予防のための食事指針を提案しています。成人期での体重維持、定期的な運動の継続、飲酒はしない、中国式塩蔵魚の摂取や塩蔵食品、食塩の摂取は適度に、アフラトキシンの摂取を最小限に、野菜や果物を少なくとも1日に400gとる、ソーセージやサラミなどの保存肉の摂取は適度に、飲食物を熱い状態でとらない。以上の8項目をあげています。

しかしながら日本人のがん予防を考えた場合、国際的にはヒトがんのリスクとして“確実”、あるいは“可能性の高い”と評価され

ている要因でも、量的な面も含めて日常的に遭遇する可能性の低いものには、特段の注意を払う必要はないでしょう。例えば、日本では産生されることがほとんどなく、食品衛生法により規制されているアフラトキシンや、食べる習慣のない中国式塩蔵魚の制限は、あえて取りあげる必要はないでしょう。また肥満のみならず、やせすぎもがんのリスクをあげることが、日本人を対象とした大規模コホート研究で示されています。体重維持のための具体的数値目標などは、日本人のデータに基づいた指針づくりが必須になります。

禁煙とWHO食事指針に基づく日本人の実状を加味した食習慣改善が、現段階では、個人として最も実行する価値のあるがん予防法といえるでしょう。さらに、感染経路が明らかなウイルスの感染予防も重要です。日本人にとって適切な、現状において推奨できるがん予防法を以下に示します(表3)。この内容は、今後新しい研究の成果が積み重なることで内容が修正されたり、項目が追加あるいは削除されたりする可能性があることが前提となります。

  • たばこは吸わない。他人のたばこの煙を可能な限り避ける。
  • 適度な飲酒。具体的には、1日あたりエタノール量に換算して約23g以内。飲まない人、飲めない人は無理に飲まない。
  • 食事は偏らずバランス良く。
  • 定期的な運動の継続を。例えば、ほぼ毎日合計60分程度の歩行などの適度な運動、週に1回程度は汗をかくような運動。
  • 成人期での体重を維持(太りすぎない、やせすぎない)。
  • 肝炎ウイルス感染の有無を知り、感染している場合はその治療の措置をとる。がんを引き起こすウイルスへの感染を予防する。