金沢医科大学出版局・RV選書

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金沢医科大学出版局刊行物

 出版局は本学教職員の手になる各種学術書や教養書、出版局の企画書RV選書、学内で使用する教科書、教材、実習書、年史、業績集などを刊行しています。

2017-08-30

RV選書:

金沢医科大学はReverentia Vitae「生命への畏敬」を基本コンセプトとする書籍を「RV選書」として刊行している

腎移植とともに :RV選書

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金沢医科大学名誉教授 津川龍三著
発行 金沢医科大学出版局
発売 紀伊國屋書店
定価 (本体900円+税)/B6判・180頁
1999年8月1日発行
ISBN4-906394-26-4
在庫なし




 著者の津川龍三金沢医科大学名誉教授は、わが国における腎移植の研究にその実験的段階から携わってきた。優れた業績は申し述べるまでもないが、特に、北陸地区での腎移植推進に関し多大の貢献があり、金沢医科大学泌尿器科学教授を退任後も、石川県臓器移植推進財団理事として現在活躍中である。
 本書は、著者の主として腎移植をテーゼとするエッセー集である。腎移植という専門的な分野について一般の読者にも理解できるよう平明に著述されているのは、著者の豊富な学識と泌尿器科医としての40年を超える経験がなせる業であろう。

 本書によれば、著者は41年前に慢性腎炎の同級生の死に会い、その6年後にStarzl著「Experience inRenalTransplantation」に出会って斯道邁進を決意し、研鑽を重ねた後の1975年に、金沢医科大学で腎移植の臨床第1例を成功。それ以来同大病院では233例の腎移植を達成してきた。著者はまさに腎炎に苦しむ患者の救済のため、半生を腎移植とともに歩んできた。

 今年1999年は、わが国で初めて臓器移植法のもとに脳死臓器の移植が行われた、記念すべき年である。宮城県からの提供例の直後の6月中旬に、著者は地元紙のコラムに次を寄稿している。
 「……1995年の報告では、死体腎移植の3年生着率は米国で92%、日本で80%である。この差は技術的なものではなく、脳死下摘出の米国に比べ、当時の日本の社会状況から心臓停止後にしか摘出できなかった腎臓の生化学的活性度の差とみられる。……日本の臓器移植は欧米に30年遅れたが、手術、免疫抑制、感染予防などいずれもうまくできることもわかった。日本人はダメな民族ではない。あとは臓器提供、移植医療を理解し応援するなど国民全体で支えていくことであろう。」

 ここに本書執筆を決意した著者の動機がよく表れていると思われる。すなわち、若い医学生たちには先輩に続いてこの道に進むことへの期待を、一般の読者には移植医療への理解を、それぞれ目的として執筆し、そして見事に成功を納めているのが本書である。