研究紹介
紫外線研究グループ
紫外線(UV)の眼部被ばくにより紫外線性角膜炎をはじめ、白内障、翼状片や 瞼裂斑などを生じることが知られています。眼部のUV対策は、サングラスやメガネ、UVカット機能付きのコンタクトレンズなどさまざまなアイテムがあるにも関わらず、UVと眼疾患の関係についての認知度は低く、皮膚などの日焼けに比べて積極的に眼部UV対策を行っている人は多くありません。また一般的なUV対策の指標としてUVインデックスが知られていますが、これらは皮膚の日焼けに対するものであり、眼部に対する指標はまだありません。
私達はUVセンサー(UV-ABおよびUV-Bセンサー)を組み込んだ人顔マネキン型UV計測装置を開発し、その装置により眼部UV被ばくの日内変動、各シーズンでのUV被ばく量の違い、頭頂と眼部のUV被ばく量の違い等を検討してきました。頭頂のUV被ばく日内変動は、正午の南中時を最大値とした山形になります。しかし眼部のUV被ばく日内変動は、太陽高度約40°を基準とした朝方・夕方に2つのピークをもつ山形となります。これはマネキンの視線が水平より下方15°(人間の歩行時における標準的な視線方向)を向いており、太陽高度が低い場合は太陽からの直射UVが眼部に侵入するため被ばく量が多くなるからです。しかし太陽高度が高くなると前頭等で遮られ眼部に侵入してくるUV被ばく量は少なくなることから2つのピークになることが言えます。私達はこれらの結果をもとに、眼部に対するUV指標(眼部UVインデックス)の作成を目指し研究を行っています。さらに西洋人や子供のマネキンを用いて、骨格形状の違いなどによる影響も調べています。
マネキン型UV計測装置
眼部UV被ばく量の計測をもとに、UV対策を目指したサングラス(メニィーナ)の開発・監修を行っております。
外部から侵入してくるUVをできるだけカットするように、日本人(東洋人)の骨格に合わせ、顔とサングラスの隙間を少なくテンプルを太くしています。かつサングラスをかけたときの圧迫感を軽減し、狭視野にならないような工夫がされています。
今年は調光レンズを使用した保護眼鏡(メニィーナSP)の開発・監修を始めました。
今後も眼部UV被ばく量の計測の他に、このような眼部UV対策を目指した簡易的なアイテムの開発なども行い、眼部と紫外線の関係について研究を行っていきます。
研究メンバー:佐々木洋、初坂奈津子、長田ひろみ、藤田信之、関 祐介